阪神大震災以降、地震に対するに関心は全国的に高まっている。知多地域においても東海地震に係る地震防災対策強化地域に指定され、地震についての知識や防災を日頃から心がけることが呼びかけられている。しかし、市民にとって現状は地震や防災についての知識を身につけることや話し合いを持つなどの対策が進んでるか疑問である。行政や企業では防災対策が独自に進んでいく中、市民は自分の身を守るために今どんな対応をするべきなのか、市民の立場から防災活動を始めた事例をあげて考えていく。

知多市役所(昭和40年代中期)

防災への市民意識

  阪神大震災での死亡者の6割が建物や家具による圧死だったと言われている。そのため、家屋の耐震補強や家具の転倒防止を呼びかけているものの、対応している市民は多くはないだろう。対応の遅れはその知識が少ないことや意識の低さにあると考えられる。災害救援活動を行っているNPOを中心として無料の家具転倒の点検調査が行われてはいるが、その点検調査への関心も低い。第一、自分の家に他人を入れて部屋を見てもらうことに抵抗がない人はいないだろう。その不安を取り除くために注目されたのが、日頃から市民と信頼関係が結ばれているホームヘルパーの存在であった。
知多市の新知コミュニティにあるNPO法人ゆいの会は、ホームヘルパーに防災の知識を身につけることによって、サービス受給者の防災意識を高めようとしている。男性ボランティアの力とサービス受給者との信頼関係が強いホームヘルパーの力を合わせ、サービス受給者が日々の生活も、災害時でも安心して生活できる仕組みづくりを考案し始めた。


防災訓練で出た炊き出しのメニュー

市民からはじめる防災対策

 NPO法人ゆいの会は、その活動のミッションとして「地域たすけあい」を掲げ、高齢者の生活支援や自立支援等を行っている。日々の活動の中から防災につながる企画が生まれたのはゆいの会が生活用水として使用している「井戸水」がきっかけだった。阪神大震災においても、民家にあった井戸の水が大変重宝したという。その経験談から井戸の整備を核とした地域防災のプランを企画したところ、平成15年度知多市市民活動促進補助金を受けて計画実行に及ぶこととなった。
井戸の整備とは別に地域の防災を市民が自発的に行うきっかけを生むために年2回の「炊き出しパーティー」を企画。震災時の避難所を想定した体験や炊き出しによる非常食の試食などを盛り込んだ内容は、実際に震災が起こってからすぐに使えるものになっている。11月に行われた1回目の「炊き出しパーティー」では、準備や段取りをゆいの会のスタッフが行ったためスタッフには「大変勉強になった」と評判であったようだ。また、参加者から出た感想や意見を参考に2回目の「炊き出しパーティー」では、消防所の職員による応急手当の実技講習を取り入れるなどの工夫が見られる。パッケージ化された防災訓練ではなく、回を重ねるごとに市民の防災意識が向上することや災害などの混乱時にも適切な処置や対応が行える効果が期待できる。

 ■NPO法人ゆいの会■

 NPO法人ゆいの会 webサイト
 http://www.yui.npo-jp.net/

 

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